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最新の研究内容

CT・MRI・PET等を用い、最新画像診断技術の臨床応用に関する研究を行い、以下の成果を上げている。

血行動態の変化による癌の発生・発育・予後の解析

肝癌の発生に結節内の低酸素状態が関与していること、早期癌の段階から腫瘍性血管が発育していること、低分化になるにつれて動脈血流が低下していくことを明らかにした。また胆管細胞癌の間質量が予後を左右し、その間質量は画像により定量化できることを明らかにした。これら一連の研究は、staticな病理情報ではなくin vivo情報である画像情報で、癌の発生・発育のメカニズムを明らかにした点で画期的である。

MRIによる新たな生体情報の取得と撮像シークエンスの開発

種々のシークエンス画像の応用により、微量のヘモジデリンや筋線維の萎縮に伴う細胞外液量を評価化し、癌の組織型分類や筋肉の萎縮程度を定量化した。また、MR膵管画像の世界標準モデルの開発、充実性腫瘤内部に含有される微量な脂肪、水分、フェリチン、銅、アミロイドなど、嚢胞性腫瘤内部の液体に含有されるケラチン、脂肪、粘液、蛋白質などを検出する手法を開発し、臨床応用を行なった。さらに、生体の硬度を画像化することにわが国で最初に成功し、硬度の違いにより硬変肝の程度、腫瘤の鑑別も可能となることを証明した。

分子イメージングトレーサーの開発と臨床応用

18F標識アミノ酸(FET)やブドウ糖(FDG)、11C標識メチオニン等の体内動態や病変部位への集積程度を解析し、代謝に基づく腫瘍病態を解明している。さらにエストロゲンレセプターのリガンドであるエストラジオールによる乳癌のホルモン療法への感受性予測、がグルコーストランスポーターの中でGlut-1の発現にFDGの集積が依存していることの証明、ドーパミン前駆物資であるF-DOPAを用いたパーキンソン病の病態解明など、分子イメージングトレーサーを用いた病態の解析と治療効果に対する先行指標としての位置づけを行なっている。さらに現在、MRIを分子イメージングのモダリティーとして開発中である。

画像診断に関する研究

遠隔画像診断ネットワークの樹立

画像医療の地域格差是正を目指して、遠隔画像診断ネットワークをわが国の大学としては最初に構築した。モダリティーメーカー各社のprivate-TAGの違いを吸収し、study instance UIDをキーとして正確な画像情報のハンドリングや、画像登録・検索の並行処理が可能となるオリジナルDBシステムを構築し特許を取得した(名称:医療画像読影システム 特許第3732747号)。これを用いてCT/MRI等の画像を遠隔地より転送し、九州内外の大学を中心とした専門医集団が読影を行い、レポートを返送する組織を構築し運営している。さらに、このネットワークは、すでに稼働している遠隔眼底診断システムも含め、広い範囲での医療をサポートするシステムとして展開予定である。画像診断をサポートしている施設数は140医療機関に及び、画像診断レベルの向上と、地域格差・施設格差の是正に貢献している。

遠隔画像診断ネットワーク

現在、このような研究をグローバルCOEプログラム「医工学融合を基盤とする次世代安心医療実現」の一部として申請中である。