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椎体形成術

経皮的骨(椎体)形成術について

 骨折を有する患者さんの大多数は、安静、鎮痛剤やコルセット使用などで手術をしなくても症状が軽快します。しかし、このような保存的療法が奏効しない場合もあり、骨折した椎体内にセメントを注入する経皮的椎体形成術(percutaneous vertebroplasty; PVP)が考案されました。
これは腫瘍や骨粗鬆症により変形を来した脊椎椎体に対し、除痛を得ることを目的に、経皮的に(基本として局所麻酔で)金属針を刺入し骨セメントを注入するものです。

 この治療法は比較的新しい治療法で、脊椎血管腫に対する治療法として1984年にフランスではじめて施行されました。
その後骨粗鬆症などに伴う圧迫骨折、転移性腫瘍や多発性骨髄腫といった悪性腫瘍にも施行されています。
本邦でも1990年代後半より徐々に施行されていますが、いまだ保険収載がなく、限られた施設でしか行われていません。

 一般にこの治療により8割程度の患者さんに速やかな疼痛緩和が得られるとされています。その疼痛緩和も迅速に起こり、1-3日ほどで大部分に見られます。
治療時間は通常1~2時間程度で、X線やCT透視下に骨セメントの量、分布を見ながら施行します。入院期間は多くは一週間程度です。

 当科では平成16年より本治療を開始しています。平成22年4月1日からは有痛性悪性骨腫瘍に対して第3項先進医療技術として混合診療が可能となっています。これにより「経皮的骨形成術」に関しては実費請求となりますが、それ以外の入院費用には通常通り健康保険が適用されます。

 本治療に関しまして通常火曜午前(9時~11時)に放射線科外来にて受付しております。
来院前にお電話にて連絡いただければ幸いです。(担当:樋渡)

連絡先
九州大学病院 放射線科
〒812-8582 福岡市東区馬出3丁目1-1
TEL (092)642-5705(外来)
TEL (092)641-1151(代表)


A B C

図 80歳代女性。第3腰椎に大きな空洞を伴う圧迫骨折を認め、経皮的椎体形成術を施行しました。治療前には座ることが困難でしたが、治療後には速やかに座位保持が可能になりました。

A) 治療前MRI。第3腰椎(矢印)に圧迫骨折を認めます。強い高信号(白色)があり、疼痛原因(空洞形成)と考えられました。
B) 経皮的椎体形成術時。針を2本刺入しています。
C) 経皮的椎体形成術後。第3腰椎の空洞はほぼセメント(黒色)で充填されました。